はじめに

①「頭頸部がん」とは?

図1

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 「頭頸部」という言葉は多くの人にとって聞きなれない言葉で、解りにくいと思いますが、簡単にいえば顔面から頸部までの部分を指します。その範囲は頭側では脳の下側まで、体に近い方では鎖骨までの範囲を指します(赤い線に挟まれた部分)。この範囲に含まれる、鼻、口、のど、上あご、下あご、耳などの部分にできるがんが「頭頸部がん」です。脳・脊髄の病気や目の病気は除きます(図1)。

②「頭頸部がん」の特徴

QOL(Quality of Life、生活の質)と密接に関係】

 頭頸部は呼吸・食事(咀嚼・嚥下)などなど、人間が生きる上で必要な機能、さらに発声、味覚、聴覚など社会生活を送る上で重要な機能が集中しています。この部分に障害が起きると直接QOLに影響するため、がんを治すための根治性とQOLとのバランスを保った治療が必要です。また、顔面の形態の維持や表情の形成を行うのも頭頸部であり整容的な配慮も欠かせません。

【低い発生頻度と数多くの種類】

 頭頸部がんは、胃がん、大腸がん、肺がん、など他のがんに比べて発生頻度は少ないのが特徴です。2002年地域がん登録による推計値(国立がんセンターがん対策情報センター)によると人口10万人に対して代表的な頭頸部がんのうち口腔咽頭がんは8.6人、喉頭がんは2.8人で、全てのがんの5%程度と考えられています。全体数は少ないのですが、鼻、副鼻腔、耳下腺、舌、喉頭、咽頭など種類が非常に多く、発生原因や治療法、予後が異なるのが特徴です。

【頭頸部がんの危険因子】

 頭頸部がんの多くは中高年の男性に発症しますが、部位によっては若年者や女性でも発生することがあります。発生には喫煙や飲酒が大きく関わっている事が判っているため、日本頭頸部がん学会では「禁煙・節酒宣言」を出して啓蒙活動を行っています。更に頭頸部がんは食道がんなど他の部位と重複して発生しやすいことが知られているため、頭頸部がんにかかったら、他の部位も定期的に検査することが必要です。

 それでは次に「頭頸部の解剖」に進んで、各部分の構造を確認しましょう。

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