IX.口腔ケア

①口腔ケアとは何か?

 口腔ケアとはブラッシングなどの方法によって、口腔内(口の中)を清潔にし、これを維持する事です。がん治療と口腔ケアは一見関係がなさそうですが、最近は重要な関わりがあることがわかっています。口腔内を清潔に保つことで、頭頸部癌の手術後の感染などの合併症の発生を抑えたり、放射線療法・化学法放射線療法などの治療中や治療後の合併症を予防したりするという重要な役割を果たします。

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②口腔ケアの種類

 口腔ケアには、保湿、スポンジブラシによる清拭、歯ブラシによるブラッシング、歯石やプラーク除去あるいは歯周炎や齲歯(虫歯)に対する治療などがあります。右の図はスポンジブラシによる口腔ケアを行っているところを示します。

 また、患者さん自身で行うセルフケア、セルフケアが行えない場合に看護師が行う口腔ケア、歯科医師や歯科衛生士による専門的器械を使った口腔ケア Professional Mechanical Tooth Cleaning(PMTC)などがあります。

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③頭頸部癌と口腔ケア

 頭頸部がん、特に口腔内にできる癌では痛みのため歯ブラシによるブラッシングなどの口腔内の清掃ができなくなります。また、放射線治療や抗がん剤の影響により、唾液の量が減少した場合や、食べ物や飲み物の通過不良などで口腔内が不潔になり、細菌が増加します。

 右の図は歯周炎や口腔ケアが必要な状態を示します。

 細菌が増加すると、頭頸部がんの治療時に、細菌が多い唾液を誤嚥することによる誤嚥性肺炎や、手術後に細菌が頸部に広がる創感染などの合併症が増え、入院が長期化したり、がん治療を中断しなくてはならなくなることもあります。そのため口腔内を清潔に保つ口腔ケアが重要になります。

 口腔内の唾液1ml中には1億個~10億個の細菌が存在します。口腔ケアは、これらの細菌を全くなくすことは不可能ですが、細菌の数をできるだけ減らし、善玉菌の割合を増やします。

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④いつからやるの?

口腔ケアプログラムの例(手術)

 頭頸部がんの場合、がんの治療前から治療中・治療後にわたり口腔を清潔に保つ必要があります。普段から歯ブラシを行っている人は多いと思いますが、がんの痛みのため歯ブラシなどがおろそかになってしまします。がん治療前に歯科医師や歯科衛生士による専門的器械を使った口腔ケア Professional Mechanical Tooth Cleaning(PMTC)を行います。治療中や治療後には手術や、放射線の粘膜炎などのため患者さん自身が口腔ケアができない期間が出てきます。その場合は看護師による口腔ケアが必要になってきます。

 頭頸部癌で治療される方は、一度主治医に口腔ケアの相談をしてみて下さい。

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